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ブラジル環境・気候変動相 マリナ・シルバさんが来社 MOTTAINAIキャンペーンへの協力を改めて表明

インタビューで記者の質問に答えるマリナ・シルバ環境・気候変動相=毎日新聞東京本社で

ブラジルのマリナ・シルバ環境・気候変動相が3月26日、毎日新聞社を訪問し、松木健社長と会談しました。ブラジルは11月に開かれる国連気候変動枠組み条約(COP30)の議長国で、シルバさんは地球環境問題に国際協調で対応することの重要性を訴えるとともに、3月に20周年を迎えたMOTTAINAIキャンペーンに協力していく意向を改めて示しました。

シルバさんは今回、国賓として招かれたルラ大統領に同行して来日しました。この日の会談で松木社長がMOTTAINAIキャンペーンへのこれまでの協力に謝意を示すと、シルバさんは「MOTTAINAIという言葉は、多様性に富んだブラジルにとっても極めて重要で可能性のある言葉だ」と強調し、COP30のサイドイベントなどで取り上げるアイデアも披露しました。さらに、松木社長が「キャンペーンの象徴的な存在として20周年記念シンポジウムなどに参画していただけるとありがたい」と要請すると、「(MOTTAINAIキャンペーンを提唱した)マータイさんの活躍に責任と重みを感じるし、(自らが)役割を果たせることを名誉に思う」などと答えました。社長との面談後、シルバさんは記者からのインタビューにも応じました。

毎日新聞社の松木健社長(左)と握手するマリナ・シルバ環境・気候変動相=毎日新聞東京本社で

シルバさんと毎日新聞社の縁は、初来日した15年10月にさかのぼります。ワンガリ・マータイさんが11年に亡くなった後、MOTTAINAIキャンペーンの象徴的な存在になってもらいたいと考えた毎日新聞社がキャンペーン10周年を迎えた年にシルバさんを招へいしました。シルバさんは約1週間の滞在中、記念シンポジウムに参加したほか、東日本大震災の被災地や熊本県水俣市、広島市などを訪問し、市民との交流を深めました。20年と22年に毎日新聞社が開催した環境シンポジウムにもオンラインで参加しました。

シルバさんが地球環境問題に取り組んだのはその生い立ちも関係しています。シルバさんは1958年、アマゾン奥地のゴム採取労働者の家に生まれました。電気も電話もなく、病院がある市街地まではボートで2日かかるような密林の村で、家計を助けるために幼い頃からゴム樹液の採取を手伝いました。
15歳で母と3人の兄弟を感染症で亡くし、母親代わりに幼い兄弟たちの世話や家事を任されていましたが、自分も肝炎などを患いました。治療のため家族と離れて州都リオブランコ市へ移住し、メイドとして働きながら16歳で夜間の学校に通い始めました。わずか4年で高校までの課程を終え、大学に進学しましたが、夜は縫製の仕事をこなしました。

同じころ、師と仰ぐ環境活動家のシコ・メンデス氏と出会いました。メンデス氏は父と同じゴム採取労働者の出身。生活の場であるアマゾンと労働者の権利を守るため組合を設立して闘うカリスマ的指導者のそばで、アマゾンの保全と政治活動に傾倒していきました。

88年、同市議選に出馬してトップ当選を果たしました。初めて手にした市議の報酬が多いことに驚き、給与を公開して議員の特権廃止を訴えました。同じ年の暮れ、メンデス氏は対立する開発業者側に暗殺されてしまいます。事件はアマゾンの保護活動が国内外で注目される契機となり、シルバさんは暴力に屈せず活動を続ける決意を強くしました。

90年に州議会議員に転じた直後、今度は原因不明の体の痛みや倦怠感に襲われます。重金属中毒でした。アマゾン川流域では土砂から金を抽出・精錬するために水銀が大量に使われ、汚染された魚などを食べた影響だと考えられました。厳しい食事制限は今も続いています。
94年には36歳で同国史上最年少の上院議員に当選。2期目の2003年には労働党政権下で環境相に就任し、森林伐採を厳しく取り締まり、自然保護区も多く設定して森林の伐採率を大きく減らしました。07年には国連環境計画(UNEP)が選ぶ「地球のチャンピオン」に選ばれました。しかし、経済成長を優先する政権の中で孤立を深め、08年に環境相を辞任、10年と14年には大統領選にも挑戦しました。
23年1月にルラ大統領の新政権が発足したのに伴い、2度目の環境相(名称は環境・気候変動大臣に変更)に就任し、COP30のアマゾン開催に向け、精力的な活動を続けてきました。

マリナ・シルバさんのインタビュー記事はこちら
ブラジル環境相が単独会見 「脱炭素へ多国間協力で責任果たす」
「悲観でも楽観でもなく」 ブラジル環境相・シルバさん、情熱の原点

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