MOTTAINAI SOUND

岡山 / 岡山(2020.06)

施設にいた父親の容態が急に悪化したのは、2020年4月末のことでした。病院の先生といろいろ話をして、ホスピス病棟ではなく、実家に連れて帰り、家で介護をして最期の時間を過ごすことにしました。初めての介護、1日に何度もおしめを変えて、入れ歯をつけたり外したり、体を拭いて、痰の吸引して、できることはすべてやりました。この歳になるとどうも涙腺が緩くなり、日を追うごとに弱っていく父親の姿を見て、涙が何度も出てきました。父はすこしずつせん妄のような症状が増え、夜ゆっくり寝れなくなりました。そこで、毎朝庭や畑で聞こえてくるウグイスの鳴き声を録音して、枕元で父親に聴かせてやりました。意識がはっきりしない時も、畑仕事や庭いじりが好きだった父はその音が何の音かすぐにわかるようで、聞くと少し落ち着いてくれました。

「Waltzing Matilda」はオーストラリアの第2の国歌とも言われ広く知られています。シドニーオリンピックのような公式祭典でも、みんなで大合唱されています。オーストラリアは元はイギリスの植民地。権力に立ち向かって、自由と独立を貫く屈しない精神が根底にあるからこそ、この歌が今でも愛されているのかもしれません。人生を全うした父親の最期を見て、この曲をアルバムに収録することにしました。岡山の家で毎日聞こえてきた鳥のさえずり、岡山の町の雑踏をバックにお聞きください。


守時 タツミ

キーボードプレーヤーとして音楽活動を開始。コンサートツアー、レコーディングから、アレンジ、プロデュースまでこなす。今まで関わったアーティストは、佐野元春、 ザ・ハイロウズ、Kinki Kids、藤井フミヤ、hitomiからClementineにまで至る。後にベネチア映画祭招待作品『千年旅人』など映画音楽も手がけるようになる。2007年より「100年後の子どもたちへ」という思いでdecibelを立ち上げ、音楽活動を展開する。ナレーションと音楽で綴った昔話『おとえほん』や『MOTTAINAI SOUND』などの企画、プロデュースを手がけ、高い評価を得ている。

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