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メディア掲載
【毎日新聞掲載記事】温暖化対策、止めないで 五輪・パラでアピールを シルバ・ブラジル元環境相
2017/01/05
地球温暖化対策に否定的な米トランプ政権の発足で、2016年11月に発効したパリ協定の
実効性に暗雲が漂い始めている。国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)
にも参加した環境活動家でブラジルの元環境相、マリナ・シルバさん(58)に協定実現に
向けた課題やMOTTAINAIキャンペーンへの期待などについて書面で聞いた。
【七井辰男、山口昭】
[所属する政党主催のイベントで講演するマリナ・シルバさん
=ブラジルのサンルイス市で2016年6月、レオ・カブラル氏撮影]
――地球温暖化対策の新しい国際的な取り組みを定めたパリ協定が昨年11月発効しました。
その意義と課題は。
◆COP21で採択後、1年で発効したのは朗報だが、気候問題の緊急性を考えれば、
まだ物足りない。協定は各国の自主目標で成り立っており、改善していく必要がある。
各国が目標を履行し、それ以上の成果を目指すために、検証メカニズムを導入すべきだ。
――米国次期大統領のトランプ氏は、パリ協定に否定的なコメントをしています。
◆彼の発言を憂慮している。米国はこれまで民主主義やグローバルな連帯を擁護してきたが、
これからの数年間、最大の試練に直面すると思う。米国民は、オバマ政権下で気候変動や
その他の問題で見られた進歩が後退することを阻止しなくてはならない。
それは世界中の人々のためでもある。
――リオデジャネイロ五輪の開会式は、各国の選手が鉢に種を植え、すばらしい環境保護の
メッセージを伝えました。
◆リオ五輪でブラジルは、世界に向けて五輪の意味と重要性、すべての民族が健康で平和的に
融合し、感動を与える場であることを示すことができた。外交のプロセスもこのように協力的、
友好的であるべきだ。特に気候変動のような地球に関わる重大な議論ではそうあってほしい。
――東京都の小池百合子知事は、2020年の東京五輪・パラリンピックで「もったいない」を
新たなコンセプトに掲げています。リオの施設を視察し、有効活用に感銘を受けたようです。
◆私は、五輪・パラリンピックが社会の最善の価値観を強調する良い機会であるという
小池知事の考えに100%同意する。その中でも、「もったいない」という言葉が表す考えは、
私たちが世界中で実践すべきものだ。深刻な危機にひんしている地球の気候や環境を考えれば、
天然資源を大切に利用することを緊急に実行しなければならない。
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■人物略歴
◇マリナ・シルバ氏
1958年、ブラジルのアマゾン奥地でゴム採取労働者の貧困家庭に生まれた。
16歳で初めて読み書きを学ぶ。重金属中毒に苦しみながら、大卒後に政治運動や
環境保護活動に取り組み、36歳で同国史上最年少の上院議員に就任。
環境相時代は伐採率を6割削減し、数多くの国際的環境賞を受賞した。
2015年10月に初来日。
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