クローズアップ

風呂敷は日本古来の文化から、エコの文化へ。

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MOTTAINAIのお送りしている風呂敷の記事。
前回は東京・原宿の風呂敷専門店の「むす美」さんにお伺いして、
風呂敷のルーツについてお届けしました。

今回も引き続き、風呂敷の歴史について。
人々の暮らしとともに、風呂敷の在り方がどのように変化してきたのかを教えていただきました。

伝統的な日本の「つつむ」ツール、風呂敷。

風呂敷は、 奈良時代には 「裏」や「幞」と書いて"つつみ"と呼び、
貴重な品物などを大切に保管するための"包み布"として使われていました。
奈良の正倉院には、今も 当時の宝物を包んだ布が1300年の時を経てその姿を残しているそうです。

その後、平安時代には、「古路毛都都美」(ころもつつみ)とも呼ばれていたようで、
貴族の装束を、包んで運ぶ様子が、巻絵の下絵に残っています。
また鎌倉時代には、「平包」(ひらつつみ)と、名称を変えて使われ続けてきました。

「風呂敷」の名前は、前回にもお話しした通り、「風呂」で「敷く」布が由来です。
「平包(ひらつつみ)」と、「風呂敷」は人々の暮らしの中で
徐々に区別のつきにくいものとなり、江戸時代中頃には
ものを包む布を「風呂敷」と呼ぶことが 広く世間に浸透していったのでした。
江戸の町が大きく発展し、商いや旅で往来する人たちも多くなると
さまざまな人たちが、個性豊かな使い方で使いはじめます。
持ち運びの荷物も大きく それに合わせて、大きい風呂敷を使用するなど
献上品や行商品など、目的に合わせて使う姿を当時の絵巻物や浮世絵に見ることができて楽しいですよ。

風呂敷は長い年月をかけて、人々の暮らしと共に
こんな歴史をたどってきたのでした。

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こちらが、六幅(1辺が200cm近く)の大風呂敷。
嫁入り道具として、布団や座布団を持って行っていた時代(およそ昭和40年前後まで)
大きな布団を包んだり、箪笥に覆うようにかけたりして使われていたのだとか。
広げるだけでも大人2人でやっとの大きさでした。

ちなみに、ちょっと小休止。
風呂敷と言えば、「唐草文様」の風呂敷を
泥棒が背負っているイメージってありませんか?

しかし,実はこの唐草文様とは、 元々「吉祥文様」。
四方八方に伸び唐草は「永遠の繁栄」を意味する縁起いい植物の柄として
非常に重宝されるものでした。

婚礼やお祝い事の場面などには、
この唐草文様の風呂敷が積極的に使用されていたんですね。

どこの家庭にも1枚は、 必ずあったのが「唐草の風呂敷」。
どこの家庭にもあるからこそ、 泥棒も盗んだものを「その家にあった風呂敷」、
つまり唐草文様の風呂敷で持ち帰った・・・
という姿が漫画や芝居などで表現されたのでした。

泥棒と結びついているイメージのものが 実はとても縁起のいいものだなんて、
なんだか意外ですよね。

消費社会の到来と風呂敷の衰退。

その後、高度経済成長期を経て到来したのが「消費社会」。
使い捨てが美徳とされる文化であり、 風呂敷でつつむことよりも、
紙袋などを使うことの方が主流になりました。

もしかして、ブランドショップでもらえる紙袋を
そのまま使うことがステータスだった経験、ありませんか?
こういった風潮が強まるとともに、風呂敷も次第に人々には
あまり使われないものとなってしまったのです。

「エコ」 と 「MOTTAINAI」 の 代表的製品へ。

出番の減ってしまった風呂敷に、再びスポットが当たり始めたのは2000年代中ごろ。
きっかけは、環境問題が取りざたされ「エコ」なものが注目を集めたことでした。

使い捨てではないこと、 用途が幅広いこと、
そして日本古来からあるものをもう一度大切にしよう!という視点から、
風呂敷は再度、人々の手にとられ始めたのです。

さらに、結び方の多様さや柄の一つひとつにも意味がある。
関わる全てのことに意味があり、大切にする姿勢は、
MOTTAINAIの精神とも非常に関連性が高かったものといえます。

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現在では楽しんで持てるエコ製品という見方に加え、
日本伝統の品としての海外からのまなざし、
あるいはひと手間かけてつつむことの上質な暮らしといったシーンでの
ひとつのアイテムとして位置づけられています。

これからも時代の流れとともに、 多彩な進化を遂げてくれるであろう風呂敷。
その進化とともに、MOTTAINAIからも多くの楽しみ方をお届けしていきたいと思います。


*関連読みもの*
「MOTTAINAI」と「つつむ」に通ずる、「Respect」のこころ。
バスマットであり、「つつむ」もの。奈良時代から使われる風呂敷のルーツ。
基本はふたつだけ。「ひとつ結び」と「真結び」を覚えましょう。



*今回の記事に関係するMOTTAINAIグッズ*


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