2010.07.30
インタビュー:映画「みつばちハッチ」総合プロデューサー・小山薫堂さん
7月31日から公開のアニメ映画「昆虫物語 みつばちハッチ〜勇気のメロディ〜」の総合プロデュースや脚本を手がけた、小山薫堂さんにお話をききました。
■今回、小山さんはアニメ映画「昆虫物語 みつばちハッチ〜勇気のメロディ〜」の総合プロデュースや脚本を手がけたそうですね。30〜40歳代の世代はテレビアニメで見た人も多いと思いますが、どのような物語を作ろうと思いましたか?
ハッチというと、悲しい物語で切ないテーマ曲が流れているようなイメージしかなかったです。そこで、最初にテレビ版のビデオを見直しました。意外だったのが、オリジナルは人間がほとんど出てこない。出てきてもハッチとのからみは基本的にないんです。基本的に昆虫の世界だけで完結している。今回は、ストーリーの中で人間を登場させようと思いました。そこが今までのハッチと異なる部分ですね。
■それが10歳の女の子のアミィですね。昆虫たちとコミュニケーションがとれて、物語のキーパーソンといってもいい。
テレビ版の場合は、基本的にハッチの成長物語でハッチに感情移入して見ていたと思うんです。映画はハッチとアミィの成長物語でもあるんです。やっぱり人間を出したほうが世界観が広がる。そこが大きなポイントだと思います。
■脚本を執筆していて何か大きなハードルはありましたか?
やっぱり人間と昆虫のサイズの問題ですね。公式サイトやポスターなどを見るとわかりますが、アミィと虫たちのサイズに違和感がないですよね。本当のところを言うと、現実の虫はもっと小さい(笑)。脚本を作っていて、サイズがここまで違うのに人間と虫が普通にコミュニケーションをとれるのだろうかという迷いもありました。
■普通、虫の表情は小さくて見えないですよね。
例えば、ピクサー映画の「レミーのおいしいレストラン」みたいにネズミと人間だったらOKだと思いますが、ハチの大きさはやっぱり微妙だなと。そこは映画ということで(笑)。
■映画では、虫たちの弱肉強食の世界もちゃんと描いていますね。
テレビ版のハッチは、子ども向けのアニメでは考えられないほど硬派なところがありました。今回の作品では意識はしなかったですが、生き物の死をちゃんと見せたほうがいいと思いました。子どもが理解できないシーンはあとで大人がフォローしてあげる。それがきっかけで親子の新たなコミュニケーションになるとうれしいですね。
■ところで、最近都市部でもみつばちの養蜂をしている事例がありますよね。今回の作品でも、エコをテーマとして「エコハッチプロジェクト」を展開しています。映画の内容もところどころ環境問題とリンクしている。
ここ数年、環境破壊でみつばちが少なくなったという話を聞きます。みつばちが住めない環境というのは、人間にとってもいいことはない。脚本作りをしているときそんなニュースを耳にしました。あと、映画ではスズメバチの巣は人間の出したゴミでできている。人間がスズメバチのいた環境を破壊したから人間の近くに巣を作らざるをえないという設定です。映画ではスズメバチは悪役として描いていますが、根本的な問題は人間のせいでもあるんです。
■映画で特にこだわった部分はどこですか?
虫の視点を大事にするということです。昔は善と悪の立ち位置みたいなものがわかりやすかった。でも、今は何が善で何が悪がわかりにくい。今の世界は善悪の基準があいまいですよね。見る人の視点で善悪が簡単に入れ替わってしまう。だから、ひとつの見方で善悪を決めるのではなくて、いろんな角度でものごとを見て考えることが大事ということを込めたかったです。
■映画では人間代表のアミィの視点だったり、ハッチの視点だったり、悪役のスズメバチの視点だったりと、いろいろな視点で描かれていますね。
「もったいない」という視点でいうと、人間が捨てる水一杯にしても、お菓子のかけらにしても、昆虫にとっては膨大な量ですよね。虫の視点で世の中を見ると、人間社会はもったいないことが山ほどある。自分たちにとっては小さな価値だけど、ほかの人にとってはとても価値があることもある。それに気づくきっかけになってくれるとうれしいですね。
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昆虫物語 みつばちハッチ〜勇気のメロディ〜
7月31日ロードショー
http://www.hutch-movie.jp/
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■人物略歴
◇こやま・くんどう
1964年6月23日、熊本県出身。85年、「11PM」(NTV)の構成に携わり放送作家としての活動を開始。「カノッサの屈辱」(90/CX)、「料理の鉄人」(93/CX)などで注目を浴び、ATP賞特別賞受賞。「トリセツ」(02/EX)が国際エミー賞に入賞。「東京ワンダーホテル」(04/NTV)、96年から続いた「世界遺産」(TBS)など、番組の企画構成に携わるほか、小説やコラム執筆などで活躍。初めて映画の脚本をてがけた『おくりびと』(08)が第81回米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞。その後も『スノープリンス〜禁じられた恋のメロディ〜』(09)の脚本を手がける。本作では映画として三作目の脚本と同時に、総合プロデューサーとして初めてアニメーション映画を手がけることとなった。
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2010.07.22
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