MOTTAINAI GREEN PROJECT

【MOTTAINAI GREEN PROJECT〜緑のMOTTAINAI〜】

MOTTAINAI GREEEN PROJECT

ワンガリ・マータイさんのふるさと・ケニア中部のキエニ地区を中心とした地域で植林を行うプロジェクト 。
MOTTAINAIキャンペーン参加企業を中心とした日本からの支援で、マータイさんの植林活動「グリーンベルト運動」が取り組みます。

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今年5年目 マータイさんの 遺志、次世代へ継承 (2013.01.07)

ケニア山麓のキエニ地区で進めているMOTTAINAIグリーンプロジェクトは今年5年目を迎え、
330万本の苗がすくすくと成長を続けています。
植林現場では、じかまきや混栽という新たな手法を取り入れたほか、
養蜂のパイロットファーム、水質浄化プロジェクトといった画期的な取り組みもスタートしました。
従来の植林活動を超えて深化しつつある活動の現場をご紹介します。

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▼毎日新聞紙面(1/3掲載)より
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◇植林の枠超え深化
◇じかまきと宮脇方式
ケニア山麓東部のガシウル地区キアンボゴ森林サイト。雨期特有の通り雨に打たれた苗木の緑が鮮やかに映る。苗床から女性グループが運んできた原生種のマークハミアの苗や、じかまきしたオレアアフリカーナ、クロトンの芽が出た穴が、2、3メートル間隔で並んでいる。ここは2011年初めの山火事で40%の苗木が焼失したが、その痕跡は残っていない。

クロトンは雨期の始まる3カ月前に植えられ、すでに芽吹いて10センチ程度まで成長していた。この木が成木になると住民は、幹や枝は薪や建材に、実は燃料油や下剤に利用してきた。しかし、この地区での伐採は厳禁。7ヘクタールのサイトを女性3人男性2人のグリーンボランティアが管理している。

じかまきを加えたのは、苗床から苗を運ぶのに手間と運搬費用がかかるためだ。しかし、じかまきの苗は、運ばれた苗木より深く根付くことがわかった。一つの穴に密植したり、間隔を空けずに植える方法は、GBMの創設者、故ワンガリ・マータイさんの招きで現地で指導に当たった宮脇昭横浜国立大学名誉教授による「宮脇方式」に従ったものだ。

この地区を統括するGBMのフィールド・ファシリテーター、ジュリアス・ギタイガさんは「一つの穴に2、3種類の種をまき、一番元気のいい苗を育てます。それによって数年後には多様性のある深い森が生い茂るでしょう」と期待を寄せる。グリーンボランティアのスタンレー・マイナさんは「じかまき方式の導入で仕事がやりやすくなり、木の成長も実感できます。これは自分だけの喜びでなく、住民の環境が良くなるという喜びにもつながります」と語る。



  ◇ハニープロジェクト
キアンボゴサイトから山頂に向け車で約30分、標高2500メートルのムブティ森林サイト。6年前から植林を開始。クロトンやオレアアフリカーナが5〜7メートルの樹木に育ち、小さな森になっていた。GBMはこの森に養蜂箱を設置し、蜂蜜を売った収入をコミュニティーに還元するプロジェクトを計画している。

近くのトモトモの丘で試験的に実施したところ、一つの養蜂箱で15キロの蜂蜜を収穫、日本円で約7000円の収入を得た。年3回収穫できるので2万1000円、所得水準が日本の約50分の1のケニアでは、かなり割のいい副業になる。森にとっては、ミツバチによる自然受粉を通じて森の生態系が維持されるという大きなメリットがある。

ムブティサイトの養蜂もGBMのパイロット事業として米国の財団などの援助を得て今年早々にスタートする予定だ。ここを管理するエクステンションオフィサー、リディア・キマニさんは「養蜂が農家の収入になれば、森を大切にする意識が高まり、伐採する人もいなくなる。森とコミュニティーが共存していけます」と言う。

honey_project.jpg養蜂プロジェクトがスタートする予定のムブティ森林サイト=2012年11月



◇水資源プロジェクト
ケニアの水源の半分はケニア山と西隣のアバーディア山がまかなっている。しかし、氷河の縮小や森林の伐採に伴う土壌の流出で最大の河川であるタナ川やエワソ・ヌギロ川の流量も減少。GBMは集水域調査を通じて保水力を効率的に維持できる森林の育成や樹木の管理に全力を挙げている。

水質の維持も重要な課題だ。ケニア山麓の中心都市、ニエリ近郊の浄水場は、下水や農業用水が混入し、異臭を放っていた。GBMは、周辺に森を整備したり、汚濁した水が流れ込む小川の水を田畑に流して浄化したりするなどのプロジェクトにも取り組んでいる。

グリーンレンジャーとして啓発活動に携わっているカフロ・マタイさんは「住民に健康の大切さや衛生観念を知ってもらうことが大切。しかし、上流だけの管理には限界があり、下流に至るまでの水質維持には政府やミネラルウオーターを生産する会社等の協力も不可欠です」と話す。

2010年に制定されたケニアの新憲法には、現在1・7%しかない森林面積率を2030年までに10%まで引き上げることが盛り込まれた。マータイさんが生前から主張していたものだ。道のりは険しいが、その遺志は次世代の手で着実に受け継がれていると感じた。
nieri_mizusigen.jpg汚水の混じった小川の周辺に森や畑を設けて浄化するプロジェクトも始まった=2012年11月、ニエリ近郊で

【文・七井辰男、浅田芳明、写真・藤井剛】

 

グリーンベルト運動